
AI inside 株式会社
導入企業株式会社広島銀行
住宅ローン仮審査の手入力を13拠点から1拠点に集約し、入力作業を年間2,380時間削減
DX Suiteは、AI inside 株式会社が提供するAI-OCRです。手書きの申込書やFAXで届く帳票など、形式の異なる紙の書類をAIが高い精度で読み取り、データ化します。読み取った結果をCSVなどで出力してRPAや基幹システムに渡すことで、入力の前後の工程まで含めた自動化ができます。金融・保険業界をはじめ業種や規模を問わず使われており、契約数は3,000を超え、AI-OCR市場では5年連続でシェア1位(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)です。導入から定着までを専任担当者が支援するプログラムもあります。
| 会社名 | 株式会社広島銀行 |
| 業種 | 金融業(銀行) |
| 概要 | 1878年創業、広島市中区に本店を置く地方銀行で、中国地方最大級の規模を持ちます。ひろぎんホールディングスのグループ銀行として、地域に密着して築いた顧客基盤とグループの総合金融力を生かし、法人向けの各種サービスから個人の資産運用までを提供しています。国内の本支店は151店、従業員数は3,162名、預金残高は9兆4,964億円、資本金は700億円(いずれも2026年3月31日現在)です。 |
課題・導入背景
広島銀行では、営業担当者が本来注力すべき顧客や不動産会社との関係づくり、ローンの相談や提案に使う時間を、住宅ローン仮審査申込書のシステム入力に取られていました。仮審査は月に約1,000件あり、Web申込をRPAで審査システムに自動入力する仕組みはあったものの、DX Suite導入時点ではWeb申込が約3割にとどまり、残りの7割は不動産業者からFAXで届く紙の申込でした。紙の申込書は13の営業拠点それぞれの営業担当者が手入力し、正確性を保つためにダブルチェックを行っていたため、1件あたり約25分かかっていました。申込が集中する月曜日には1日に100件近いFAXが届くこともあり、営業担当者は事務手続きに追われていました。
解決策
ひろぎんホールディングスのDX統括部と広島銀行の営業企画部が連携し、2023年10月にDX Suiteを導入しました。導入を機に、13拠点で行っていた入力業務をローンセンターの1拠点に集約し、各拠点の営業担当者は申込内容の事前確認だけを行う体制に変えました。ローンセンターがDX SuiteでFAXのPDFを読み取り、確認・修正したCSVをRPAが審査システムに入力する流れです。AI-OCRを一次チェック、人を二次チェックと位置づけ、2人で行っていた工程を1人で完結させました。導入直後は利用率が低調でしたが、同年12月にローンセンターを再び訪ねて実務担当者の要望を聞き、設定と申込書のレイアウトを見直した結果、2024年2月には利用率が90%を超えました。
結果
申込書1件あたりのデータ入力完了までの時間は、25分から8分に短縮されました。年間約12,000件の仮審査のうち紙申込が7割を占めていた導入前は年間約3,500時間の作業でしたが、導入後は同規模の件数でも年間約1,120時間で対応でき、差し引きで年間2,380時間の削減効果が出ています。営業担当者はデータ入力に使っていた時間を顧客対応や提案業務に振り向けられるようになり、入力業務自体もより少ない人数で処理できる体制になりました。設定の変更は担当者が自分で行えるようになり、社内で改善を続けています。今後は住宅ローンの本申込や教育ローンへの適用拡大を検討しているほか、他の紙書類を扱う業務でも同じ進め方を検討する動きが行内に広がっています。
審査申込書のAI-OCR化という事務の改善にとどまらず、13の営業拠点で営業担当者が担っていた手入力を1拠点の専門チームに集約し、営業担当者が顧客対応や提案に使える時間を生み出した点を、営業DXの取り組みとして評価しました。営業担当者が事務に追われていたという課題は明確です。AI-OCRとRPAを組み合わせてダブルチェックを一人で完結させた打ち手は妥当であり、業務の集約という組織の見直しを同時に行ったことで効果が大きくなっています。年間2,380時間という具体的な成果に加えて、利用率が低かった導入直後に現場と対話して設定を直し、90%以上に引き上げた定着の過程には再現性があります。営業DX部門 AWARD にふさわしい取り組みと判断しました。
| 会社名 | AI inside 株式会社 |
| 概要 | AI inside 株式会社は、2015年8月設立、東京都港区麻布台に本社を置く企業で、2019年12月に東京証券取引所に上場しています(現在はグロース市場)。人工知能および関連する情報サービスの開発・提供を事業とし、AI-OCRのDX Suiteのほか、Leapnet、AI inside Cubeなどのプロダクトを提供しています。従業員数は135人(2026年6月末時点)です。 |
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編集部コメント
編集部がこの事例を営業DXとして紹介したいのは、営業担当者の時間を増やす方法として、営業支援ツールの導入とは別の道筋を示しているからです。広島銀行は、営業担当者から事務作業を切り離して専門チームに集約し、そのチームの作業をAI-OCRとRPAで軽くするという二段構えで、営業に使える時間を作りました。AI-OCRの読み取り精度だけを見て導入を判断すると、その入力を誰がどこで行うかの設計が後回しになりがちです。集約と自動化を同時に設計し、設定の変更まで自分たちで行える状態にした進め方は、紙の申込が残る他の業務にも持ち込める考え方だと編集部は見ています。
デジタル化の窓口 編集部