スマートOCR
株式会社インフォディオ
スマートOCRは、紙文書や帳票をスキャン・撮影した画像からテキストデータを抽出するクラウド型AI-OCRソリューションです。ディープラーニングを用いた独自エンジンにより、従来は難しかった手書き文字やレイアウトが複雑な非定型帳票にも対応し、高精度な読み取りを実現します。CSV出力や他システムとの連携もしやすく、請求書・見積書・注文書などさまざまな帳票の入力業務をまとめて自動化できる点が特長です。
| 会社名 | 株式会社 ほくつう |
| 業種 | 電気通信工事業 |
| 概要 | 株式会社ほくつうは、石川県金沢市に本社を構える電気通信工事の専業企業で、北陸3県および関東エリアなどに事業所を展開しています。創立1950年の創業75年超の老舗として、情報通信システムや防災無線、監視制御システムなど総合弱電システムの企画・設計・施工・メンテナンスを一貫して提供し、地域の社会インフラを支えてきました。電気通信を軸に、暮らしと社会をつなぐソリューションに強みを持つ企業です。 |
課題・導入背景
同社の購買部では、数百社の仕入れ先から届く見積書を基に、毎月約800枚の注文書を発行していました。5〜6人の担当者が毎日6時間近く、見積書に記載された品名・型番・数量・単価などを基幹システムへ手入力しており、大型案件では明細だけで5〜6枚に及び1案件の入力に1時間程度かかっていたといいます。注文書発行業務が日々の業務時間の大半を占め、残業も常態化していたため、入力作業の効率化とミス削減が喫緊の課題となっていました。
解決策
入力工数削減に向けてAI-OCRの導入を検討し、複数サービスを比較した結果、画面の見やすさと費用構成の分かりやすさを評価してスマートOCRを採用しました。見積書をスマートOCRにアップロードし、テンプレートで品名・型番・数量・単価などの明細項目を自動抽出、そのデータをCSV化して基幹システムにインポートするフローを構築。テンプレート未対応箇所は、帳票上の文字列をクリックするだけで反映できる仕組みとし、入力を「半自動化」することで、従来の手入力に依存したプロセスからの脱却を図りました。
結果
導入から2カ月時点で、1枚あたり平均12分かかっていた入力時間が5分まで短縮され、約50時間・6割の作業時間削減効果が確認されました。その後処理枚数が増えた現在では、さらに効果が高まっているといいます。手入力はほぼ不要となり、入力ミスもほとんど発生しなくなったことで、残業時間も大幅に減少。空いた時間を取引先との価格交渉など付加価値の高い業務に振り向けられるようになり、将来的には注文書発行を購買部に集約して会社全体の生産性向上につなげたい、という展望も生まれています。
創業75年超、北陸の社会インフラを支える電気通信工事の老舗企業が、月800枚規模の注文書発行業務にAI-OCRを本格活用し、導入2カ月で入力時間を約6割削減した点を高く評価しました。本事例では、単に見積書のOCR化に留まらず、購買部への業務集約とスマートOCR×基幹システム連携を組み合わせることで、残業削減・入力ミス低減・交渉業務時間の創出まで一体的に実現しています。電気通信工事業という公共性の高い領域で、ドキュメントDXが現場の働き方と企業全体の生産性向上の両方に波及している点が、「ドキュメントDX部門」AWARDとしてふさわしいと判断しました。
| 会社名 | 株式会社インフォディオ |
| 概要 | 株式会社インフォディオは、AI・SaaS技術をベースとした自社プロダクトの企画・開発・販売・運用を一貫して行うテクノロジー企業です。AI-OCRや自然言語処理(NLP)など先進的なAI技術と、これまで磨いてきたUI/UX設計力を強みとし、「ITの浸透が人々の生活をより良く変えていくこと」をビジョンに掲げています。スマートOCRをはじめとするプロダクトを通じて、紙帳票業務の自動化やバックオフィスの省力化など、企業の業務改革と生産性向上に貢献しています。 |
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毎日5〜6人が6時間近く続けていた明細入力という、現場にとっては「当たり前」だった重い業務に対し、AI-OCRを軸にここまで定量的な改善を出している点が印象的でした。1枚12分の入力が5分に短縮され、残業が「圧倒的に少なくなった」という現場の声は、DXの成果を端的に物語っています。文字列クリックでの反映やテンプレート再利用など、プロダクトの特性をうまく活かしながら、購買部の役割を拡張していこうとする姿勢も含め、老舗インフラ企業ならではの堅実かつチャレンジングな取り組みだと感じました。