RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、人間がPCで行う作業をロボットで自動化する仕組みのことで、業務改善や働き方改善などの問題を解決するためには、RPAの導入が非常に重要です。近年、RPAは自動化の重要なツールとして、幅広い業種で取り入れられています。RPAのメリットとしては、人手で実施する業務の削減による業務改善、人的コストの削減などが挙げられます。最近は、AIを導入するなどして業務改善をしようとする動きもみられ、RPAは自動化において重要な役割を果たすでしょう。今回は、RPAの機能・メリット・導入についてビジネス向けに解説します。
RPAの基本的な機能4つ
RPAは定型業務の自動化には向いていますが、非定型作業の自動化には不向きです。定型作業の自動化ができるRPAの基本的な機能について4つ紹介します。
記録機能
記録機能とは、指定した操作を記録する作業のことで大きく2つに分けることができます。
レコーディング
マウスやキーボードなどで人間が行った文字の入力やエンターを押した動作などの操作を記録することで、次回から一連の流れを自動化できる機能です。記録を行い修正をかけるだけで良いので、エンジニアでなくても簡単にロボットを作成することができます。
スクレイピング
ウェブ上の画像データやテキストデータを大量に取り込むことができる機能です。ニュースのサイトなど特定のサイトから必要な情報を毎日特定の時間に収集できるので、情報収集に費やしていた時間や手間を削減することができ、業務の効率化につながります。
編集機能
業務の流れを必要なタイミングで、比較的簡単に修正することができます。記録機能で作成したロボットに実行させたい一連の業務の修正したい部分だけを修正する、ロボットを作成した際に自動で作られるフローチャートを利用して編集する、プログラミングを利用して編集するなど複数の方法で編集できることもRPAの特徴の一つです。
実行機能
レコーディングした操作やプログラミングした操作の実行は、条件を満たしていればRPAで行うことができます。例えば、スケジュール設定をすれば決まった時間に自動処理が行うことができたり、メールを受信した、などのある条件(トリガー)が起きたことを検知して自動処理を行うことも可能です。
RPAが注目される背景
少子高齢化の影響で労働人口の減少、働き方改革が打ち出されるなど労働のあり方が見直されるようになる中でRPAが注目されるようになりました。RPAは導入効果がすぐに確認できるので、他社の成功事例を早い段階で確認し導入する企業が急速に増えていることが考えられます。また、RPAは複雑な知識を必要とせず設計できるので、比較的簡単に導入できることも注目されているポイントです。
RPAのメリット4つ
作業の自動化には様々な手段がある中で、RPAが選ばれているのには理由があります。RPA導入のメリットを大きく4つに分けて紹介します。
1.生産性の向上
人間が負担していた定型作業を削減できRPAによる早く正確な作業が可能になるので、RPAの導入によって生産性の向上が見込めます。例えば、人間が稼働できない夜に稼働できることは生産性の向上に繋がる大きな1つの要因です。
2.コスト削減
規模にもよりますが導入コストがあまりかからないこと、人件費削減につながることから全体のコストを削減することが可能です。人間の手で行っていた定型作業をRPAが対応できるようになるため、業務が効率化しその分の人件費が削減できます。
3.働き方改革の実現
単純な作業をRPAが行うことで従業員は他の作業に集中することができ、労働力の削減が可能です。RPAは休日や時間帯を問わず作業を進めることができるので従業員の負担を軽減でき、長時間労働の改善や働き方改革に対応することができます。
4.比較的簡単に設計できる
内容によってもロボット設計の難易度は変わってきますが、RPAはエンジニアの特別な知識を必要とせず比較的簡単に設計することができるので、導入が簡単です。システムを構築しなくても、チャートなどを利用して簡単に作成や修正を行うことができます。
RPA導入の留意点3つ
RPA導入の際には導入後に失敗しないよう、RPAの特徴をよく知っておくことが大切です。RPAを導入する前に注意すべき点はどのようなものでしょうか。
1.非定型作業には向かない
RPAは人の手で登録された作業しか行うことができません。導入を考えている業務が定型作業だけで行うことができるかどうかを確認することが必要です。高頻度で同じ作業を繰り返しているような場合は、RPAが非常に適していると考えることができます。
2.RPAの管理体制を構築する必要性
決められた業務にしか対応できないので、予想外の事態が起こった場合は人間の手で修正する必要があります。問題なくRPAを利用していくためには、適切な管理ができる体制を構築しなければなりません。RPAに詳しい担当者を置いたり、RPAを運用する上でのルールの設定などが必要不可欠です。
3.どの程度の規模のどのような業務かを明確に
RPAツールは様々な種類があります。選定の際にポイントとなるのが、どの程度の規模のどのような業務に適用するのかという点です。これらを明確に設定しておくことで最適なツールを選択することができます。
他類似サービスとの比較
RPAのほかにも類似した作業を行うことができる手段があります。ほかの手段も知ったうえで導入の目的に沿ったサービスを選択することが重要です。
RPAとVBA
VBAによる自動化はExcelやWordなどのオフィスアプリケーションに限られますが、RPAは特定のアプリケーションに限らず自動化することができ、幅広く応用できます。また、VBAはプログラミングスキルが必要とされるのに対して、RPAはプログラミングスキルを必要とせず直感的にソフトウェアを作成できるため、比較的簡単に利用することができます。
RPAとAI
AIは蓄積されたデータをベースに自分で学習・判断し実行しますが、RPAは決められた作業のみを実行するシステムです。AIとRPAはコンピュータが自動的に実行する点においては同様のシステムですが、それぞれの特徴を理解して導入を検討する必要があります。作業内容が確実に決まっているルーティンワークの場合はRPAを導入するのがよいでしょう。
RPA導入の流れについて
RPAは導入の規模によって金額が大きく変化しますが、スモールスタートの場合は安価で手軽に始めることができます。導入を考える際には、RPAを必要とする業務を洗い出し規模を適切に設定してから、見合ったツールを選ぶことが重要です。
1.適用する業務を見定める
RPAが適しているのは定型業務なので、判断を必要とする業務などが含まれていないかどうかを確認して、RPAを適用させる業務を洗い出す作業をはじめに行います。作業内容のチャートフローを作成すると適用する業務の選択が行いやすいかもしれません。
2.適切なRPAツールを選択する
業務の内容、導入の規模によって適切なRPAツールが変わるので、業務内容と導入の規模を確定させることは導入の中でも非常に重要な作業になります。条件を満たすRPAツールを慎重に選択することが必要です。
3.最小限の規模で導入する
スモールスタートの場合安価で手軽に始めることができます。RPAを導入するのにふさわしい業務かを確かめるためにも最小限の規模で導入する方が良いでしょう。
4.導入後の課題検討
導入したことで業務の改善が見込めたかどうかを確認し、本格的な導入に向けて準備をします。改善点があればこの時点で解決することが必要です。
5.本格的に導入し、運用体制の構築
初めに想定していた規模で導入し、RPAを管理する体制を構築します。不備が起きた場合は人の手で修正する必要があるので、メンテナンスを行える体制を整えることが重要です。
RPAの導入を考える際には必要な知識を身に着けて選定
近頃、急速に導入が増えているRPAは得意なこと・苦手なことがはっきりしています。導入の前にRPAで自動化する業務を見極めて、見合ったツールを選定する必要があります。また、導入後の運用体制を整えておくことも非常に重要です。RPAには類似のサービスが存在するので、業務にもっとも適したツールを選択するのが良いでしょう。